自民党元幹事長の二階俊博衆議院議員(85)=当選13回・御坊市=が25日、党本部で会見し、次期衆院選に出馬しないことを明らかにした。党派閥の政治資金問題に対して、派閥の会長を務める自身の政治責任を取る形での不出馬表明で、残りの任期については引き続き力を尽くす考え。後継者問題には「地元の皆さんの判断に任せる」と説明した。

 二階氏は政治資金問題に対して陳謝し、政治責任は監督責任者である私自身にあるとし、「この際、政治的責任を明らかにすべく、本日、岸田文雄総裁に対し、次期衆院選に出馬しないことを伝えた」と報告。残りの任期(来年10月30日まで)は国土強靭化、大阪・関西万博準備、観光推進、外交問題などに対応していく姿勢を示した。政治の師と仰ぐ故田中角栄元首相に関するエピソードや、「政治の原点はふるさとにあり」との思いで政治の道を歩んできたことも振り返り、有権者の熱い思いに感謝も伝えた。

 後継については一部有権者らの中から長男俊樹氏や三男伸康氏の名前が挙がっているが、二階氏は「和歌山3区の皆さんが決めること」と話した。かねて和歌山選挙区選出の世耕弘成参議院議員は衆院へのくら替えに意欲をみせているが、世耕氏も政治資金問題で安倍派幹部としての責任問題が取り沙汰されており、同じ自民党の派閥トップだった二階氏の不出馬表明を受けてどう出るか、今後の動向が注目される。

 二階氏は1983年年12月の衆院選で初当選。運輸大臣、経済産業大臣、自民党総務会長などを経て、2016年8月に党幹事長に就任。2019年9月8日には幹事長通算在職日数が1498日となり、故田中角栄元首相を抜いて歴代最長となった。同月14 日には菅新総裁が誕生し、二階氏は幹事長を続投。21年10月、岸田文雄総裁就任に伴う役員人事で幹事長を退任したが、その後も党国土強靭化推進本部長を務めるなど、現在も重鎮として政界に大きな影響力を発揮している。