趣味は釣り。暇さえあれば、海や川へ出かけている。釣りは竿を出すだけでなく、海の満潮時刻や風の強さなどを事前に調べることから始まり、「この仕掛けはどうだろうか」「ポイントはどこがいいだろうか」などと想像を巡らせる。そんなことを考えていると、釣行前からウキウキとした気分になり、少年のように心を躍らせてしまう。

 それは釣りだけに限ったことでなく、旅行に出かける前、ゴールデンウイークや年末年始など長期休暇の前なども同じ。しかし、旅行の目的地が思っていたような場所でなかったりすることもあるし、長期休暇についても計画倒れで終わってしまうこともある。

 日高川では3月1日にアマゴ釣りが解禁する。アマゴの中には30㌢を超える大物もあるが、一般的には30㌢にも満たない20㌢前後。特に魚の引きが強く、やり取りに醍醐味を感じるという訳でもない。しかし、魚体が美しい。背側が抹茶から薄緑で、淡青色のパーマークと呼ばれる楕円形の斑紋が並び、朱色の斑点もきれいだ。そして、釣りのターゲットとしても手ごわい。警戒心が強く、釣り人に気づくとすぐに岩陰に逃げてしまう。エサに対しても違和感を感じたらすぐに吐き出すこともあるし、釣り針から出たエサの部分だけをくわえていることもしばしば。だが、それだけに釣り上げたときのうれしさは大きい。

 日高川では昨年10月から釣りが禁漁となり、3月に5カ月ぶりに解禁。早春の渓流を歩きながらアマゴとの再会に期待し、解禁まであと3日と迫り、自然と気持ちが高ぶる。「楽しかったのは釣行前だけだった」ということにならなければよいのだが…。(雄)