「レ・ミゼラブル」 を熱演する元合唱部員(市民文化会館小ホールで)

 日高高校合唱部2019年度前後の卒業生らで構成する「あるまにこ(溝端瑞季代表)」の音楽朗読劇「レ・ミゼラブル」が12日、御坊市民文化会館小ホールで上演された。

 19年度卒業生は、コロナ禍のため卒業時の定期演奏会が開けなかった学年。そのときの悔しさを晴らすため、現役時代に部長を務めていた3年上の溝端さん(25)が中心となり、「もう一度うたいたい」と学年を超えて集まった。「あるまにこ」はイタリア語で調和を意味する。

 19年度卒業生がうたう「Sо Clоse そばにいて」で幕を開け、思い出の合唱曲として「虹」等を披露。昭和・平成歌謡のコーナーでは「春一番」や「年下の男の子」を振り付けも交えて軽快にうたった。メインの音楽朗読劇「レ・ミゼラブル」は、19年度卒業生が1年生時に取り組んだ演目。原作はジャン・ヴァルジャンの数奇な運命を描く大河小説で、19年間の獄中生活ですさんだ心を持っていたヴァルジャンが司教の真心に触れて人間らしい心を取り戻す前半、10年後、引き取った少女コゼットが革命を志すマリウスと恋に落ちる後半で構成される。

 舞台は脚本の朗読と歌で進行されたが、朗読を超えた迫真のセリフ回しと動き、高らかな歌声のハーモニーで物語を豊かに表現。ヴァルジャンの苦悩、コゼットを思う母ファンティーヌの愛、新たな世界の到来を夢みて懸命に戦おうとする学生の熱情込めた「民衆の歌」に、観客からは大きな拍手が送られた。

 溝端さんは「現役最後の定期演奏会が中止になった学年の悔しさを晴らすため、学年を超えて集まってくれました。この春大学卒業を迎える人も多く、二重の卒業記念の意味を込めた舞台になります。多くの方々のご支援のおかげで演奏会が開催でき、感謝しています」と話していた。