
次世代の移動手段として注目されている「空飛ぶクルマ」の県内での実用化に向け、県は5日、総合重工業の株式会社IHI(東京都)、建設コンサルタントの株式会社長大(同)、南海電気鉄道株式会社(大阪市)の3社と連携協定を締結した。来年の大阪・関西万博への機運を醸成し、万博終了後も県内への誘客促進や地域社会の発展に寄与する協力体制の構築を図る。
空飛ぶクルマは、ヘリコプターやドローン、小型飛行機の特徴を併せ持つ機体。駆動時に温暖化ガスを出さず、整備や運航に要するコストがヘリコプターよりも安価とされる。
県は昨年4月、運航実現に向けたロードマップを公表。万博までは「導入期」、万博から2030年までは「成長期」とし、30年以降を「発展期」として観光周遊への活用、新たなビジネス創出などに取り組む。
今回の4者による協定は、空飛ぶクルマの普及啓発、実証飛行に向けた取り組み、空飛ぶクルマを活用した観光振興、地方創生などを内容としている。具体的には、IHIは離発着場の設計・建設など、長大は離発着場の選定など、南海電鉄は鉄道・バスなど地上交通との接続、観光事業の提案などを行う。
県庁知事室で行われた締結式で、IHIの土田剛副社長、長大の野本昌弘社長、南海電鉄の岡嶋信行社長、岸本周平知事の4人が協定書に署名。岸本知事は「空飛ぶクルマの県内での実現可能性がより高まる協定と思っている。将来的には、稼げる空飛ぶクルマのビジネスが県内を中心にできるように、ぜひご協力をいただきたい」と述べた。
県は、年内の実証飛行を目指すとともに、まず離発着場の候補地を絞り込む作業を進めていく。