1月のテーマは今年の干支「龍」。今回はイギリスの龍です。

 「人のいいりゅう」(グレーアム著、平井芳夫文、小学館「少年少女世界の文学6巻 イギリス編5」所収)

 グレーアムは「バッハハ~イ」が口ぐせのカエル「ケロヨン」の人形劇の原作者。村外れの洞窟にのんきな龍が住み着いたが、大きな龍を恐れる村人達はドラゴン退治で有名な勇者セントジョージを呼び寄せる。彼も実は殺し合いが好きではなく、賢い少年が龍とジョージを引き合わせ、3人で村人を喜ばせる芝居を考える。

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「ばんざいをさけんで、わしがみんなに演説する。きみが心を入れかえたから、もう悪いことはしないだろう…というようなことを」
「それから?」
「そのあとは、お祝いの酒盛りになるだろうよ」
「わかりました。やりましょう」(略)
「あばれたり、火をはいたり、適当にたのむよ」
「あばれまわるのはおやすいご用ですが、火をはくのは練習不足で、うまくいくかどうか」(略)

 男の子は、もしかしたら、りゅうが殺されたのではないかと、どきっとしました。でも、りゅうが男の子を見ると、片目をつぶってウインクをしてみせたので、ほっと安心しました。