南紀短歌連盟主催、第40回南紀短歌大会が8日に田辺市民総合センターで開かれ、日高地方から有本由美子さん(72)=日高川町小熊=、山本祥佳(やすか)さん(37)=御坊市薗=の2人が上位に入賞した。

 111首の出詠があり、井谷まさみち、楠田立身、小島なおの3氏の選で入賞歌を決定。出席の53人による互選で南紀短歌連盟賞も決めた。

 有本さんは井谷氏の特選に選ばれ、教育委員会賞を受賞した。作品は「スマホよりセレナーデの曲流れ出し『おっと私のお薬タイム』」。10年前から友人の誘いで短歌を始め、川辺短歌会に所属している。この大会での教育委員会賞は2度目で入選経験もあり、今回は日ごろの薬を飲む習慣について気軽な調子で詠んだ。選者からは「『おっと』が効いている」「セレナーデという言葉がいい」など評価。「ふっと自然に出てきた歌で、賞をいただけるとは思っておらず驚きました。うれしいです。辞書などでいい言葉を探す時間はとても楽しく、短歌に出会ってよかったと思います」と話している。

 山本さんは小島氏の特選に選ばれ、文化協会長賞を受賞。作品は「カーラジオから聞こえくる風力に押されて海をこえて行かばや」。コロナ禍でどこへも行けず閉塞感を感じていた時、車で世界各地の風力を告げるラジオ番組を聞き、ソロモン、サンクトペテルブルクなど行ったこともない地名に『風に乗ってそこへ行ってみたい』と思ったことを詠んだ。「軽快さがさわやかな高ぶりを感じさせる」など評価。「母が短歌をやっているので、子どもの頃から生活の中に短歌のリズムがありました。入選は何度かありますが上位入賞は初めてで、とてもうれしいです」と喜んでいる。

 このほか日高地方の入賞者と作品は後報。