御坊署管内を含む県内で今年11月末までに確認された特殊詐欺の被害額が3億4000万円余りに上り、昨年同期比で2倍以上になっている。なかでも未払いの料金があるなどとだまし、現金を支払わせる架空請求詐欺が多発。19日には県警と宅配業大手のヤマト運輸㈱和歌山主管支店が特殊詐欺の被害防止や子どもの見守りで協力する「地域安全に関する協定」を締結した。

 県警によると、県内で今年に入って11月末までに確認された特殊詐欺の被害は91件、被害額は約3億4200万円。昨年同期と比べて件数は3件減少しているが、被害額は約1億8200万円増加しており、御坊署管内の被害は御坊市1件、日高町2件の計3件、約690万円となっている。

 そのうち架空請求詐欺の被害は57件、約2億6500万円。通信会社をかたった利用料金の未払いがあるとのうそから、誰にも相談しないうちに複数回にわたり現金をだまし取られ、被害が大きくなるケースが相次いでいるという。

 御坊署管内の被害も手口はいずれも架空請求。12月にも15日までに美浜町で架空請求詐欺1件、約530万円の被害が確認されており、「知らない相手からの電話、メール、身に覚えのない話があれば、気軽に警察(御坊署℡0738-23ー0110)に相談してください」と呼びかけている。

 一方、今年11月末までの被害91件のうち宅配便が使われた事例は12件。昨年1年間の3件をすでに大きく上回っている。県警と同主管支店はこれまでも特殊詐欺の対応訓練を行っており、さらに連携を強化するため協定締結が実現。県庁で協定締結式が行われ、岸谷孝行生活安全部長と高橋博一主管支店長が協定書に署名した。

 同主管支店は県内27営業所、セールスドライバー約600人、窓口等の営業所職員約100人、配送車両約400台を保有。協定によって、職員が顧客に注意を促し、特殊詐欺とみられる事例があった場合は速やかに通報していく。

 岸谷部長は「特殊詐欺への対応が急務なところ心強い協力をいただいた」と感謝。高橋主管支店長は「第一線で働く社員に対処を教えることで1件でも被害防止に貢献したい」と話した。