作品と賞状を手に松下さん

 紙芝居文化推進協議会(横浜市)が主催する第23回手づくり紙芝居コンクールで、みなべ町在住のイラストレーター松下恭子さん(45)の作品「せかせかばあさん」が、特別賞に当たる横浜市歴史博物館賞を受賞した。自身の母親をモデルにした昔話風のユーモアあふれる作品で、松下さんは「皆がただただ笑える作品で賞をいただき、うれしい」と話している。

 同コンクールは手づくり紙芝居の普及を目的に開かれ、全国の幼児・小学生(ジュニア)や一般を対象に作品を募集。今年はジュニアの部75点、一般の部121点の応募があり、一般の部の入賞は10作品選ばれた。松下さんが受賞した横浜市歴史博物館賞は今回から新設された賞で、子どもらが公園に集まって楽しむ昔ながらの街頭紙芝居の文化を継承している作品という側面で評価された。

 「せかせかばあさん」は、せっかちな性格の松下さんの母親をヒントに「それが極端な話だったらおもしろい」と着想を得て描いた作品。ご飯を食べる前にごちそうさまと言ったり、洗濯物を洗う前に干したりするおばあさんが、おじいさんが倒れたある日、「自分が仕事や何もかもしないといけなくなる」と思い込み死んだふりをするも、おじいさんになだめられるという物語。昔話風のイラストで面白おかしく描いた。

 9月ごろに審査、先月26日には横浜市で入賞者による実演審査会と表彰式があり、松下さんは実演審査会のトリで紙芝居を披露。他の入賞者はメッセージ性の強い作品が多い中、ユーモアあふれるストーリーと関西弁も相まって、会場は温かい笑いに包まれた。

 松下さんは出産を機にイラストレーターとして活動を開始。紙芝居は動物や環境保護を訴える内容のものが多く、今回の作品の受賞には驚きもあった。「今度はSDGsなど考えさせられるテーマで挑戦したいです」。

 「せかせかばあさん」の紙芝居は、講演依頼があれば披露する。問い合わせは松下さん℡080―6121―4289。