元号「令和」の考案者と目される万葉集研究の大家、中西進さん(94)を中心とする「中西進と21世紀を生きる会」が23日、御坊市を訪れ、有間皇子の埋葬説がある岩内1号墳や歴史民俗資料館を見学した。有間皇子の顕彰活動を行っている東山の森Ark代表理事、東睦子さん(御坊市岩内出身)が案内。全国から訪れた約40人は、古代史を学ぶ人の間では有名な古墳を目の当たりにし、満足そうな様子だった。
同会は中西さんとともに「令和をどう生きるか」を語り合う会として、2002年に発足。今年は万葉集に2首の和歌がある悲劇の皇子、有間皇子について学んでいる。
今回の一行は北海道、東京、愛知、大阪等から約40人。22・23日の2日間、和歌山県を訪問し、22日には白浜町で2023年度総会と講演会を開催。中西さんは講演で、有間皇子の和歌とされる「家にあれば笥(け)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る」「岩代の浜松が枝を引き結び真幸くあらばまた帰り見む」の2首について詳しく解説した。
23日にはみなべ町の岩代結松を見たあと、御坊市で歴史民俗資料館、岩内1号墳を東さんの案内で見学。同古墳は「考古学の第一人者」と呼ばれた故森浩一氏が有間皇子の埋葬説を提唱しており、東さんは「漆塗りの木棺や副葬品などから被葬者が極めて身分の高い人物であると考えられ、調査を行った森氏が2012年に『有間皇子の墓でよいと確信』と明言した」など詳しく伝えた。
中西さんはこれまでにも何度か岩内1号墳を訪れており、会員らとあらためて解説を聞いて満足した様子で、参加の会員は「有間皇子が埋葬されたといわれる古墳を実際に自分の目で見て、感激です。解説も大変詳しく熱く語ってくださり、よかったです」と話していた。