模擬薬剤を搭載したドローンが到着

 災害時等を想定し、ドローンを使った県立医大等の医薬品配送の実証実験が24日、日高川町で行われ、21㌔の長距離空輸に成功した。将来的な社会実装へ一歩前進した。

 プロジェクトは、県立医大、県、日高川町、NTTコミュニケーションズ、株式会社ケースケーが共同で行っている。今年3月には1・5㌔の距離をレベル2相当(目視飛行)で達成していた。

 今回はさらにステップアップして、長距離のレベル3相当(無人地帯の目視外飛行)の飛行を実験。集中豪雨で土砂災害が発生し、日高川町美山地区が孤立。川上診療所の患者にインスリン製剤を緊急に届けなければならないという想定で行った。入野集落センターから模擬薬剤を積んだドローンが離陸、最高速度85㌔、最高高度350㍍を飛び、18分59秒で美山地区の山村開発センター駐車場に着陸した。将来的な省力化を目指して、配送先の役場美山支所までは配送ロボットが届けた。患者役の久留米啓史町長が薬剤を受け取って無事実験が終了した。

 プロジェクト関係者は「長距離輸送がきっちりとできたことは成果。レベル4飛行(友人地帯の目視外飛行)など、まだまだ課題がたくさんあるが、一つひとつクリアして実装へ取り組んでいきたい」と成果と課題をふまえて話した。久留米町長は「防災センターからドローンを飛ばせるようになることに期待する」とし、実験に参加した川上診療所の平林直樹医学博士は紀伊半島大水害も経験しており「弱者に薬を届けられるインフラ整備ができれば助かる」と話した。