今年はモーニング娘。が誕生して25周年のメモリアルイヤー。本書はモーニング娘。の生みの親、つんく♂さんが今まで制作した楽曲がギュっと詰まったムック本です。掲載曲数は2000曲以上に上り、それらのデータが完全網羅されております。『LOVEマシーン』『ザ☆ピ~ス!』がリリースされたのはもう20年以上も前。世間的にはそのイメージで止まっていることでしょうが、その後も幾多の名曲が誕生しているんです。

 楽曲は主に自身がプロデュースしていたハロー!プロジェクトの女性アイドルに提供。つんく♂楽曲の魅力は何といっても青春時代真っただ中に生きる女子の繊細な心を表した歌詞です。当時3、40代の男性が作ったとは思えません。例えば、鏡を見て「ああどうしてこんな顔よ」と嘆く歌詞や、「食欲すっごく落ちてる」と言いながらも「ケーキが2個っきゃ入んない」とちゃっかりな歌詞…。そこにはアイドル一人ひとりの個性を伸ばそうというプロデューサーとしての愛情が垣間見えます。

 愛や人生といったスケールの大きいテーマを日常に落とし込む名フレーズも数多く誕生してきました。例えばモー娘。の名曲『IWISH』では、「人生って素晴らしい」と言った後に「いつもの道でも何かを見つけよう!」と励ましたり。本書ではこのようなファンの心にガツンと残る〝パンチライン〟が随所に紹介されています。

 プロデューサー業は2013年に卒業。現在は楽曲提供のみですが、ファンであればつんく♂楽曲の特徴をすぐにとらえることができます。それだけ多くの人に印象を残してきたといえます。

 このほか、秋元康氏や小室哲哉氏など日本を代表するプロデューサーとの対談、つんく♂さんがプロデュースした〝弟子っ娘。〟座談会なども収録。時代に名を残したアーティストの功績を深くなぞれる一冊です。(鞘)