ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから約1年半が経過した。未だに終戦の糸口が見えず、戦いは長期化するばかり。兵士となった多くの若者の命が失われ、爆撃を受けた民間人にも犠牲者が広がっている。当たり前だった生活までも奪われてしまった。
日本も78年前に太平洋戦争を経験した。日本軍の死者数は230万人。内地での戦災死者数は約80万人といわれ、犠牲者の総数は310万人とされている。アメリカ軍は約16万人、イギリス軍は約8万5000人で、日米英を合わせると約330万人になる。それだけなく、アジア太平洋各国の民間人死者数まで含めれば約2000万人以上の人々が犠牲になったといわれる。一度戦争が始まってしまえば、簡単にはやめられず、多くの犠牲者が出てしまう。
今の日本の平和が維持されているのは、戦争体験者たちがその悲惨さを後世へと引き継いできたからでもある。しかし、戦後78年が経過し、当時の戦争を知る人はほとんどいなくなった。それだけ平和に対する意識を保ち続けるのは難しくなったといえる。戦争を知らない今の世代がそれを知る手段としては、今起こっているウクライナの状況や過去にあった戦争の史実に関心を持ち、より深く理解することしかないだろう。
先日、日高川町鐘巻で日高郡遺族連合会主催の第67回日高郡戦没者合同追悼法要が行われ、遺族ら約150人が英霊3400余柱の冥福と恒久平和への祈りをささげた。時としてもろく崩れてしまう平和をこの先どう守るのか。今を生きる日本人に課せられた大きな使命でもあり、英霊に対する誓いでもある。(雄)