300平方㍍の畑で栽培する道仙さん

 日高川町川原河、会社員道仙(どうせん)信也さん(38)は国内では珍しいコーヒーの栽培に挑戦する。通常は赤道直下のブラジルやベトナムなどで生産されているが、低温に強い改良された苗を使用して栽培。来月からは畑の整地に取りかかり、来年11月ごろに初めての収穫を目指す。道仙さんは「梅やミカンに並ぶような県の特産にしていきたい」と話している。

 道仙さんは「自然豊かな日高川町で子育てしたい」と2021年3月、大阪府柏原市から日高川町に移住。大阪に住んでいた時から「コーヒーは大好きだが、原料の豆は99%が輸入で、国産はほとんどない。自分でコーヒーを栽培したい」という思いを持ち、引っ越し後はその思いが一層強くなった。

 コーヒーは赤道を中心に南北25度以内の熱帯や亜熱帯地方で栽培され、日本ではほとんど栽培されていない。農業関係者らに相談しても「冬がある日本の気候は栽培に適していない」と理解が得られなかったが、移住して半年が過ぎた頃、テレビで白浜町でコーヒーを栽培していることを知った。すぐに生産者の青木孝尚さんに連絡し、以後は月に2、3回のペースで訪ね、岡山県の業者が開発した寒さに強い苗を使っていることなどを教わった。

 栽培する農地は中津川地内に借りた約300平方㍍で、来月から雑草の刈り取りなどの畑の整地に取りかかる。その後、ビニールハウスを設置。来年1月に50本の苗を植え、将来的には栽培面積を増やしていきたい考えだ。今後、栽培が地域に広まれば、耕作放棄地の活用などにも期待できる。

 現在、高齢者福祉施設で看護師の正社員として勤務しているが、本格的な栽培に向けて来年1月にパート勤務に切り替えて農業に力を入れるという。

 栽培に向けてクラウドファンディング「Makuake」を通じて資金協力を呼びかけ中で、検索ワードは「Makuake 和歌山県で国産のコーヒーをつくりたい」。