寅さん会から贈られた花束を手に北山さん、山田監督、吉永さん(左から)

 山田洋次監督のファンらで結成するわかやま寅さん会(西本三平代表)主催、「こんにちは、母さん」和歌山特別先行上映会が23日、和歌山市松江のガーデンパーク和歌山内、ジストシネマ和歌山で開かれ、山田監督、主演の吉永小百合さんらが舞台挨拶を行った。

 映画は山田監督の90作目となる最新作で、9月1日から全国公開。東京下町で老舗の足袋屋を営みながらボランティア活動に励む女性と、大泉洋演じる息子らのふれあいの物語。吉永さんは、一人で暮らしながら仕事にささやかな恋にと懸命に生きる女性を好演している。上映は2回行われ、いずれも400席が満席となった。

 舞台挨拶は「寅さん」で三平を演じる俳優の北山雅康さんが進行役を務め、3人が登壇。山田監督は「市民の力で、手作りでできた上映会。こういう形で開いてもらえること、監督として光栄に思う」と話し、「吉永さんは大学生の孫がいる役で、『おばあちゃん』と呼ばれることになる。吉永さんをおばあちゃんと呼んでいいのか悩んで悩んで、本人に緊張しながら聞いたら、すぐにOKしてくれた」など裏話を披露。吉永さんも、足袋作りを1カ月勉強したことなど撮影秘話を紹介し、「和歌山県はお魚がおいしくて、お城も素敵で、いいところですね」と笑顔で話した。和歌山市出身の照明スタッフ土山正人さんも挨拶した。 同会は「寅さんの世界を通じて、まちを元気にしたい」と10年ほど前に結成。山田監督の映画の上映会はこれで4回目となるが、山田監督と主演女優が同時に出演するのは初めて。スタッフを務めた日高御坊支部の支部長、橋本厚洋さん(74)=御坊市=は「観客の皆さん、『よかった』と本当に満足そうに言ってくれていて、ほっとしました。山田監督の作品は悪人がおらず、人間への信頼が表れていると思います。お元気にお話される姿を見て頼もしく思いました。吉永さんは気品のかたまりで、見とれてしまいました」と話している。