ウォールアート制作が行われるクラブハウス
ヒトツキのKAMIさん㊨、SASUさん㊧

 2018年に台風被害で壊れ、使えなくなった由良町大引、白崎海洋公園のクラブハウスが、国内外で活躍するウォールアートユニット「HITOTZUKI(ヒトツキ)」の手によって生まれ変わる。負の遺産となっている建物の再生に向けて指定管理事業者が実施。今年は公園入り口近くの壁を手掛け、来年はメインのクラブハウスに取りかかる。

 ウォールアートの制作は2日、指定管理事業者代表で、linkworks代表取締役の廣瀬琢也氏らが記者会見し、発表した。

 同公園は18年9月の台風被害で、当時の指定管理者が撤退して以降、町が直接管理。21年度、厳しい財政事情を理由に、クラブハウスの撤去が白紙になるなか、今年度から株式会社linkworks、グローブシップ株式会社で構成する共同企業体「白崎海洋公園スマイルプロジェクト」が指定管理を行っている。 

 今年3、4月の落石事故で展望台近くの駐車場にアクセスするクラブハウス前の管理道路を閉鎖し、クラブハウス裏に展望台へのメインルートとなる仮設道路を整備したが、訪れた人が荒廃したクラブハウスの間近を通行するため、景観上の問題として対応するよう議員から声があり、町と指定管理事業者で協議。これまで負の遺産だった建物を町や公園のシンボルになるよう再生させる。

 HITOTZUKIはKAMIさんとSASUさんでつくるユニットで、1999年から共同制作をスタートさせ、国内や海外でもさまざまな場所でウォールアートを制作。世界各地で高い評価を受けており、最近でも国内の有名な店舗の壁面を描き、活躍の幅を広げている。

 HITOTZUKIによる制作活動は、今月8日から公園入り口付近の壁面が始まり、クラブハウスは来年夏に完成予定。ゴールデンウイークや夏休みに地域住民や子どもらも参加できるイベントを計画しており、廣瀬氏は「アートと融合し、アクティビティを楽しめる公園、美しい環境をより美しく、楽しく過ごす時間を見いだせる場所にしたい」と力を込めた。