コロナが感染法上の5類に引き下げられ、各地で花火大会が復活している。夏の風物詩的なイベントということもあり、これで「やっと夏が来た」と感じる人も少なくない。まちおこしの起爆剤としても位置付けられているため、花火大会の会場はかなりにぎわいを見せる。花火大会で多くの人が訪れるということは、町に活気があふれているという証拠につながるのかもしれない。

 しかし、一部の自治体では花火大会の中止が相次いでいる。コロナ禍で中止となった間、予算を担ってきた地元の企業や商店の経営が厳しい状況に置かれたこと、物価高騰のあおりで家計が圧迫され、住民からの寄付や協賛金がなかなか集まらないということがほとんどだという。そうした状況で、クラウドファンディングで寄付を募る自治体も出てきた。クラウドファンディングを活用したある自治体では目標金額を大幅に超え、その分で大規模な花火を購入することができたという。

 花火大会を継続していくには、地元の人達の協力が必要不可欠になる。経済的な面でもそうだが、来場者の車を誘導・整理したり、ゴミを集めてきれいにするボランティアなど、人的な面でもだ。だが、人口減少や担い手世代の流出で昔のような規模を保つことができるか、課題も出てきている。

 地元だけでの力では維持も難しくなってくる。これからはさまざまな形で内外から協力してくれる人を増やし、これをきっかけに地域との関係を持てる仕組みをつくることが必要になってくるのではないか。長らく守られてきた地元の夏の風物詩が消えてしまわないことを期待したい。(鞘)