先日、美浜町三尾の大賀池で大賀ハスの観蓮会が開かれた。例年と違ったのは、大賀ハスの発祥の地、大賀ハスまつりを毎年開催している「花びと会ちば」の仙波慶子会長ら3人が初めて訪れたこと。元千葉市中央・稲毛公園緑地事務所長の斉藤久芳さんが、五感で楽しむ大賀ハスの魅力を講話してくれたが、内容が非常に興味深かった。記事では掲載できなかったので、少し紹介したい。

 まず視覚。大賀ハスは咲いてから4日目に散るが、1日目はとっくり型、2日目は浅いお椀型など毎日花の形や色が変わり、4日目が一番大きいという。続いて嗅覚で楽しむ。蓮は荷風千里といわれるように、非常にいい香りがする。2日目が一番香りが強く、甘い中にも清涼感のある香りがするようだ。触って楽しむこともできる。茎には虫よけのとげがあるほか、花の中心が発熱するため、花の中に指をいれると温かみが伝わってくる。そして茎を通してお酒や水を飲む「象鼻杯」でハス独特のほろ苦さを感じることもできる。単に花を見て楽しんでいた筆者には目からうろこな話ばかりだった。

 最も興味深かったのは、音。昔からハスが花開くときに「ポン」という音が聞こえるといわれていた。大賀ハスを発掘した大賀一郎博士が茎に収音マイクを付けて実験した結果、開花するときに音はしないことが実証された。朝の静けさの中、池の鯉がエサを食べるなどの音が開花したときの音のように聞こえていたのではといわれていた。風流な聞き違えだとほほえましく思えた。

 ウクライナではいまだ砲撃の爆音がやまない。ハス池の音が聞けるような静かな日はいつくるだろう。美しいハスの花に平和をかみしめた。(片)