岸本周平知事が県内各市町村で地域住民と意見交換するタウンミーティングが10日、美浜町と日高町で行われ、農業等の担い手不足や地域産業の再興を願う切実な思いがぶつけられた。
美浜町では農業、漁業、商工業、建設業、子育て世代等各種団体から11人が参加。農業関係者は和田の田んぼ32㌶のほ場整備計画が進んでいることを説明し、「現在の250筆を90筆に、真四角な土地に整理し、作業効率を上げることで後継者不足解消の一助としたい。どうか事業化に向けて力を貸してほしい」と要望。漁業者からは「海で魚が獲れなくなってきている。獲る漁業から育てる漁業への取り組みと、地域で盛んだったシラスの地引き網を復活させたい」、商工業者からは「3年間のコロナの影響をいまだに引きずっている事業者がいる。手厚い支援を」などと、町を支える産業の安定を訴える声が上がった。母子保健推進員は「働きながら子育てして、いっぱいいっぱいになっているお母さんが多い。男性がもっと子育てに積極的に参加できる環境づくりが必要」、ほかにも「母親子どもクラブという名称からして、今の時代に合っていない」など子育て環境の整備を求める意見も出た。
岸本知事は一つひとつに丁寧に答え、「町とともにできることからしっかり支援していきたい」などと約束した。
日高町では農漁業の団体や民宿、建設や商工業の事業者、子育て支援センター、行政の関係者8人が出席。子育て中の町職員は町負担ゼロでの給食費の無償化を求め、農業関係者はグループ経営で経営発展を目指す取り組みを紹介した。岸本知事は給食費について「財源がいるので、県で全額は無理。できて2分の1だし、来年度はできません。任期中に取り組むべきことの一つと考えている」と答え、建設業関係者には「災害時は地元の業者さんしか頼れず、自治体とは運命共同体。会社が減るなか10年、20年後も残ってもらえるよう公共工事はやっていく」と述べた。