御坊市教育委員会の2023年度市民教養講座が先日スタート。初回はデザイナーのコシノジュンコさんが「お母ちゃんにもろた日本一の言葉」をテーマに語った◆4月に開かれた岸本周平知事とのトークイベントに出演したこと、「高野・熊野を愛する100人の会」の一員であることなど、和歌山県とのかかわりから話は始まり、ファッション関係よりもっと大きな視点で生き方としての「スタイル」が語られた◆印象に残ったのは、とにかく前向きに、自分自身の意志を強く持って生きていくスタイルを貫いていること。大事にしているという「かきくけこ」は、「感謝、希望、くよくよしない、健康、行動力」。母である小篠綾子さんからもらった言葉として、「人にやってもらうより、したげる方がよっぽどいい」「向こう岸を見ているだけでは渡れない」「人はそれぞれ自己流がいい」など、心を元気にしてくれる言葉が紹介された。「昔から変わらないですね、といわれるとうれしい」と言い、続けて「変わらないでいるためには、変わり続けなければいけない」と。何も考えずにそのままでいると、年月による変化に負けてしまうということだろう。「変わらずにいる」ことを意志をもって実現するためには、日々の努力が必要になる◆ジムでアキレス腱を切り、車いすで生活した時には「車いすに似合うファッションを」と、それを自分自身に課せられたテーマと捉えて積極的に取り組んだという、そのエネルギッシュなスタイルには美しさを感じた◆「スタイリッシュ」は美しい、かっこいいと訳されるが、真にスタイリッシュであるとは、自身の芯の部分のあり方を知り、それを曲げず、歪めず、損なわずに全うさせながら前を向いて生きていくことなのだろう。  (里)