飛び立ったドローン(円内)を見送る子どもたち

 日高川町川原河で6日、関西初となるドローンを活用した住民向け物流サービスの社会実装がスタート。初日は保健福祉センター内に設けられた拠点「スカイハブ日高川店」の開所式が行われ、荷物を積んだドローンが役場美山支所駐車場を出発し、初湯川の美山若者広場まで届けるデモ飛行を披露。久留米啓史町長は町内の均衡の取れたまちづくりに期待を寄せた。

 同事業は、物流大手のセイノーホールディングス株式会社と、ドローンの開発や配送の企画運営等を行う株式会社エアロネクストが提携し、エアロネクストの子会社で実際にドローン配送を含む新スマート物流を事業展開する株式会社ネクストデリバリーの3社が手掛ける。日高川町では、川原河の保健福祉センター内に拠点「スカイハブ日高川店」を設け、地元で4人を雇用し、ドローン2台、EV車2台を使って空と陸の両方で配達を行う。

 当面は、美山地区と一部の中津地区を対象エリアに、買い物代行と弁当配送を行う。買い物代行は、日用品や食料品など30品目を注文に応じて提携する店舗で用意し、主にEV車で届ける。今後はニーズに応じて提携する商店や取り扱う商品を増やし充実させ、ドローンの飛行ルートを作成する。このほか、近い将来、ドライバー不足が予想される物流業界との提携、すでに美山地区では郵送となっている新聞の配達なども視野に事業を広げ、快適に暮らせるよう課題解決に取り組んでいく。

 拠点隣の山村開発センターで行われた開所式で久留米町長は、「町内のどの地域に住んでいても同じようなサービスが受けられる均衡のとれたまちづくりが急務。さまざまな分野での利活用を今後関係者の皆さんと協議しながら、より良いものとなるよう進めていきたい」とあいさつ。セイノーHDの河合秀治執行役員もあいさつし、エアロネクストの田路圭輔CEOが事業概要を説明したあと、ドローンのデモ飛行を行った。

 美山支所駐車場で川原河小学校やみやま保育園の子どもたちが見守る中、紀州備長炭や鮎の干物など2・3㌔の荷物を積み込んだドローンが飛び立ち、笠松小学校の児童が待ち受ける7㌔先の美山若者広場まで15分で飛行。着陸後は機体下部が開放し、自動で荷物が降ろされる様子が披露された。

 この事業は内閣府の全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指す「デジタル田園都市国家構想」の交付金(補助率50%)を活用。全国で実績のある事業者が実施することが条件で、エアロネクストらは北海道や山梨県などですでに同様の配送サービスを提供し、日高川町は6カ所目となった。事業費は6000万円。