取材先から「まだ書かんといてよ」や「はっきり決まっていないから」などと言われることがある。取材先との信頼関係が大切であるため了承するが、ならばどこまでなら現時点で書いても大丈夫なのかを詰めるのも記者の仕事。ざっくりした内容や数字であっても、いち早く読者らに知ってもらうことが必要な時もある。ただ、決してだまして書いたり、約束を破ったりすることはなく、「全く書かないで」というものは基本的には書かない。

 先日、日高地域鳥獣被害対策の会議があり、22年度の管内農作物被害状況が報告された。被害総額や市町別、鳥獣別の詳細な被害額が示されているが、担当課によると本庁から県全体の発表があるまで、新聞紙上に数字は書かないでとのことで、もちろん了承。ただ、シカの被害額が年々増加して、初めて大台に乗っていた。詳細な数字は書かないという前提で、被害額について「1000万円超えという表現なら大丈夫ですか」と質問したところ、担当課は「大丈夫です」との返事。了解をいただいたと思って記事にしたら担当課からお叱りの電話。話を聞くと、県全体での公表後にその表現を使ってもいいかどうかという質問だと思ったそうだ。公表後ならあいまいな表現をしなくてもずばり数字を書くだけなので、わざわざそんな質問をしないのだが…。

 いずれにしても日高地方のシカの農作物被害は深刻な問題。担当課では本庁での発表まで情報を公表できないという〝前例〟にとらわれるのではなく、本庁と掛け合って日高だけでも独自に速報値として発表、少しでも早く情報を共有してみんなで対策を講じていく、そんな姿勢が必要ではないか。(吉)

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