長野県中野市で4人が殺害された立てこもり事件の発生から10日が経とうとしている。容疑者の31歳の男は、死亡した4人のうち2人の女性について「(ひとり)ぼっちとばかにされたように思って刺した」という旨の発言をしている。さらにこの2人とは「直接の面識はない」と供述しているという。
男は東京の大学を中退して社会から遠ざかろうとしていたが、市議会議長の父親、ジェラート店を経営する母親の支援を受けながら自ら農園を経営し、社会とのつながりを持とうとしていた。親は決して子を見捨てることはせず、できるだけの支援をしようと奔走していたのだろうと推測する。それなのに近所の人の噂話、もしかしたら思い込みかもしれないのに、このような悲惨な事件が起こってしまったのは本当にあってはならないことだ。
田舎は噂話がすぐに広がる。どこどこの家の子どもは〇○に進学して、○○に就職している。いつ結婚して今は〇〇に住んでいる…など。世間では長らく、滞りなく進学して、就職して、結婚して子どもをもうけ家庭を持つ。それが「当たり前」の人生だというふうに刷り込まれてきた。そしてその「当たり前」から少しでも逸れると、周りは好奇の目に変わる。「あの子は少しおかしい」「変わり者」などと根拠のないレッテルを貼られてしまう。容疑者を擁護するつもりは毛頭ないが、そのような風潮が、その人の生きづらさを余計に助長していることに気づいてほしい。
本当は周りに何を言われようが動じない強い心を持てることが一番いいのだが。言いたい人には勝手に言わせておけばいい。自分の心は自分しか守れないのだから。 (鞘)


