御坊市野口の日高BHAスイミングスクールで教室生を対象に行われている着衣泳の訓練を取材。水難事故が多くなる夏を前に子どもたちの安全を守ろうと、毎年、3週間かけて実施されており、教室生はTシャツや短パンなど服を着たままでプールに入り、水に落ちた時の対応法を学んでいた。

 訓練では、落水したときは「慌てて泳ごうとせずに、浮いて助けを待つ」のが一番大切なことと指導。衣類が水を含んで重くなり、手足がうまく動かせず、泳ぎが得意と思っている人でも無駄な動きで体力を消耗してしまうので、慌てずにラッコのようにあおむけに浮き、水面から顔を出して呼吸できる状態を確保する。このとき、服は体温低下を防ぎ、子どもの靴は浮力があるので脱がずにおく。できるだけ長く浮いていられるように、浮くものを顎の下やお腹に抱えればよいとして、空のペットボトルやビーチボールのほか、ランドセルやレジ袋に空気を入れたものなどが浮き輪代わりになると紹介した。このほかも、溺れている人を見つけたときの対応方法や服を着たままでも比較的楽に泳げるエレメンタリーバックストロークの練習もあった。毎年繰り返して学び、知識と経験を重ねることは、万が一のときにパニックを起こさないために大きな意味があると思った。

 2021年の全国の水難事故件数は1395件、水難者数は1625人で、半数近くの744人が死亡か行方不明となっている。年間の数字はここ10年ほぼ横ばい。夏の海や川のレジャー・スポーツ中の事故が多く、毎年魚とり・釣り中が最多という。楽しい思い出が悲しい日にならないように、自然を甘く見ず危険を想像し、自分の力も過信せずに万全の備えで海や川を楽しんでほしい。 (陽)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA