観光地や行楽地が大いににぎわった今年のゴールデンウイーク。ニュースでは連日、そのにぎわいの様子が伝えられ、久しぶりに活気が戻って来たと盛り上がった。そんななか、子ども連れの来館者が優先して公共施設などに入場できる「こどもファスト・トラック」という取り組みの紹介が報道され、賛否両論が巻き起こっている。

 こどもファスト・トラックは政府が打ち出した「異次元の少子化対策」の一環。妊娠中や中学生以下の子どもを連れた母親がいるグループは、一般客とは別のレーンを通って長時間並ばずに入場できる制度だ。乳幼児の子どもを持つ家族からは「助かる」という一方、「公平でない」という不満の声もある。

 確かに、この制度が当たり前になったとき、子どもらは将来どうなってしまうのだろうと不安になる。「子どもは優先されて当然」とか思うようになり、甘やかされたまま成長し、秩序が守れない傍若無人な大人が増えていくのではないだろうか。おそらく皆、保育所や小学校のときに「順番を守りましょう」とさんざん教わってきたはず。学校で先生が注意したときに、「だって子どもは順番優先なんだよ」と反論されたら、どう教えてあげればいいのだろう。そもそも少子化対策で、子育て世帯は何でも優遇というのは、根本的な解決になるのだろうか。

 この国の社会はまだまだ、子育て世代の肩身が狭いかもしれない。だからといって他の先進国に並ぼうと急に駆け足になって足並みを揃えるのは無理があると思う。制度で統制するのでなく、マナーとして互いに思いやる心を育んでいけばいいだけだ。(鞘)

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