2021年に開催された東京五輪の陸上競技400㍍ハードルに出場した安部孝駿さん(31)の講演「オリンピックまでの道のり~低迷期を乗り越えて夢をつかむまで~」を聴いた。安部さんが所属するヤマダホールディングスの地域貢献事業の一環で中高生らを対象にしている。

 安部さんは昨年現役を引退するまで、192㌢の長身を生かした大きなストライドの選手として世界大会などで活躍。講演では競技を始めた小中学時代や恵まれた体格でインターハイなど全国大会で優勝した高校時代を紹介。大学1年時、世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得し、「夢だった五輪出場が目標に変わった」と話した。ところが、順風満帆だった競技生活が実業団選手となってから一変。ベストから4秒もタイムを落とす人生最大のスランプに陥り、国内でも勝てない低迷期が3年間続いた。復活のきっかけになったのは、高校時代の恩師との再会で、恩師とともにゼロから五輪出場を目指すことになった。ネガティブになっていた考え方から、自分のために楽しみ自己肯定感を高めることで自信を取り戻し、25歳で7年ぶりに自己ベストを更新、全日本実業団選手権で優勝し復活を遂げた。その後もタイムを縮め東京五輪出場選手選考会では参加標準記録を突破し、五輪出場を達成した。

 安部さんが不調の原因について、まず「成功体験が多いこと」と挙げ「苦労せず、失敗から学んでいない経験不足から選手として自立できていなかった」と話したことが印象的だった。目標と失敗は人を強くする。やり遂げた人の言葉は重く、40代後半で特に野望もない私にも響き、目標に突き進む中高生には、心震わせる素敵な言葉になっただろう。    (陽)

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