法善寺近くの築150年の古民家に移住した岩永さん

 東京大学大学院2年生で、以前から美浜町三尾でカナダ移民等の歴史を研究している岩永淳志さん(24)が三尾に移住した。大好きな歴史や文化、自然、三尾の人々に囲まれて生活したいと決心し、築150年の古民家を購入。自身を育ててくれた地域を守るため、集落内の空き家を宿泊施設やレストランとして活用するイタリア発の取り組みを三尾で進めようと、新たな一歩を踏み出した。

 岩永さんはアニメ「AIR」の聖地巡礼で美浜町を訪れたのがきっかけで、2019年8月から東大を一時休学して三尾のゲストハウス&バーダイヤモンドヘッド(大江亮輔さん経営)に住み込み、地域の人とかかわってきた。移民等の歴史に興味を持ち、これまで2人の人生にスポットを当てたパネル展「アメリカ村の看板婆さん 中津フデ展」(2020年)、「日本とカナダで生き抜いた100年 村尾敏夫展」(22年)を開催。三尾の歴史や自然、大江さんをはじめNPO日ノ岬・アメリカ村のメンバーら三尾の人々が大好きになり、「自分を育ててくれた三尾、尊敬する人たちがいるところで生活したい」という思いが強くなり、移住を決めた。永住するつもりで、築150年の古民家を購入。正式には古民家の改修を終える秋ごろに住民票を移して町民となる予定だ。

 東京ではベンチャーを起業し、大手企業と共同で、都市の大学生と地域を結ぶ事業を行っていたこともあり、「美浜町は観光地ではないと思われがちだが、三尾などそのままの自然や人々の営みが都会の若者にとっては魅力そのもの。私の友人たちは、煙樹ケ浜や三尾の海を眺めながらコーヒーを飲む、地元の人と一緒に酒を飲む、これだけでリフレッシュして都会に帰っていきます」と、三尾の原風景が観光資源だという。

 自身が拠点にする古民家の周りも空き家だらけ。「自然のままの三尾を守っていきたい。そのために、古民家を宿泊や飲食、雑貨店など日本語では『地域まるごとホテル』といわれる、イタリアの空き家問題を観光産業で解決する取り組み『アルベルゴ・ディフーゾ』を三尾でやりたい」と意欲満々。

 現在は大学院の講義をリモートで受講しているほか、東京の東大とは別の大学の営業職としてリモートでも働いている。夏ごろから移住した古民家の離れを使ってDIYのイベントなどを考えており、「三尾版アルベルゴ・ディフーゾを実現していくには一人では何もできない。DIYなどを通じて三尾に来てもらって、仲間を増やしていきたい」と意気込んでいる。

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