
今月27日、文化庁が東京・霞が関から京都に移転しました。日本文化を海外に発信する「長官戦略室」「食文化推進本部」「文化観光推進本部」も新設され、さらなる発展が期待されています。そんな京都の文化を代表するものとして「京料理」を思い浮かべる人も多くいるのではないでしょうか。昨年11月には、国の登録無形文化財にも登録されました。
この本は「京料理」の「定義」について、京都ハモ料理の第一人者である著者がまとめた一冊です。その背景には、登録無形文化財の価値が「食材調達から接客までを行う主人、接遇を担う女将、伝統的な技術を持つ料理人の〝三位一体〟となっていることにある」という国の見解があります。著者はそれに異義を唱え、「料理の提供方法のサービス面ではなく、料理職人のこだわってきた仕事にある」とし、「京料理とはどのようなものなのか」を、料理の歴史的な成り立ちや店の業態、味付けや盛り付け方法に至るまで、細かく解説しています。
その中で面白かったのが、京料理人の心得帳。「白身魚はうすく炊け、青背の魚は深く炊け」「伊勢エビをそのまま出せば伊勢(浜)料理」「根菜を、うまく炊けなきゃ京を去れ」など、技術・精神的な心得があり、その奥深さを感じました。
庶民の私からすると京料理といえば、▽老舗の高級料亭にて▽着物を着た女将が持ってくる▽華やかな器に盛りつけられた▽豪勢な見た目の料理――を想像していましたが、それは完全に作りあげられたイメージ。日本で採れた旬の野菜や魚を、如何においしく美しく味わってもらうか。そこには日々技術を磨いてきた料理人の絶え間ない努力と誇りがあるのだと感じさせられました。すべての料理に理由があるわけです。
これから観光シーズン真っ盛りになる京都。実際に訪れ、京料理を味わってみたいものです。(鞘)


