WBCは日本の劇的な優勝で幕を閉じた。これだけのスター軍団の中でも、大谷翔平選手の存在感はダントツだった。チーム一丸の中心にいたのは、大谷選手。その強い結束力を生み出したのは、なんといっても指揮をとった栗山英樹監督であろう。日本代表の快挙を伝える大手新聞に、栗山監督の人柄に迫る記事がたくさん出ていた。指導者としての信条は「選手に思いきりプレーさせること」で、日ハムの指導者時代も、選手を怒ったり非難したことは一度もなかったという。今回の采配にも選手を信じる栗山監督らしさがにじみ出ていた。
栗山監督の7年間の現役時代の記憶はあまりなく、テレビのスポーツキャスターの印象が非常に強い。誰よりも分かりやすく、視点がユニークだったのを覚えている。監督就任後は、選手の育成に長けた人という印象で、高卒即メジャーの考えだった大谷翔平選手が日ハム入りすることになったときも「栗山監督のもとならいいかも」と思ったのを覚えている。メジャーでMVPを獲得した大谷選手が「栗山監督にWBCに出なさいと言われたので、出ます」とつぶやいたのも、2人の信頼関係を物語っていて、ほほえましかった。
栗山監督も現役時代、レベルの高い他の選手に気後れし、厳しいプロの世界に戸惑った一人。当時の二軍監督の言葉に救われ、大事なことは人と比較するのではなく、自分自身が少しでも成長しようとすることだと気づいたという。どんな人も初めからなんでもできることはない。挫折を経験して成長する。侍の選手、そして栗山監督に、アスリート、指導者とも大きな刺激になっただろう。WBC優勝の大きな意義の一つだと思う。 (片)


