
ロシアによる侵攻1年を受け、3月のテーマは「ウクライナ」。今週は、ウクライナ出身作家による児童文学をご紹介します。
「ネズナイカのぼうけん」(ノーソフ著、福井研介訳、偕成社)
昔あった「パルナス製菓」のイメージキャラ、パルちゃんはネズナイカがモデル。ノーソフ自らパルナスに絵を進呈したそうです。
いたずら小人のネズナイカとその仲間は、秀才のズナイカが作った気球に乗って、女の子ばかり暮らすみどりの都へ飛んでいき、冒険を繰り広げます。ズナイカとはぐれたネズナイカは女の子たちに「自分こそが気球を作った英雄だ」と自慢。他にもほらを吹きますが、あとでズナイカに化けの皮をはがされます。
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「ほんとですか、気球にのってとぶと、地球が下のほうに、おまんじゅうくらいの大きさにしか見えないっていうのは」
「いや、そんなことはうそだ」とズナイカがこたえました。「地球はたいへん大きいものだ。いくら気球であがっても、ますます大きく見えるよ。だって、上からだとますますとおいところまで見えるんだからね」(略)
「だれが、そんなでたらめをまきちらしたのですか」「ネズナイカよ」ウサコちゃんがこたえて、わらいだしました。ネズナイカはきゅうににげだし、たんぽぽのくさむらの中にかくれてしまいました。