今年の元旦、テレビの正月特番で、世界各国の年越しが放送されていた。時差を利用して各国の主要都市で新年を迎える様子をリポートする内容で、カウントダウンとともにきれいな花火が上がる様子が流れていた。印象的だったのはロンドンで、年を開けてすぐに流れていた音楽「蛍の光」。日本で馴染みのある曲が海外に流れている様子に、スタジオの出演者の中には驚く様子も見られた。

 「蛍の光」といえば日本人がとても大切にしている曲の一つだろう。そんな日本人の心とも言える曲だが、原曲はイギリス北部のスコットランドに伝わる民謡「オールド・ラング・サイン」。それをアレンジし、歌詞をつけたのが「蛍の光」。曲が生まれたイギリスでは年始や披露宴、誕生日などでうたわれるとのこと。曲は日本だけでなくアジアや英語圏の各国で流れたり、うたわれたりし、世界に愛されている。ちなみに閉店前の店舗で流れるのは、「蛍の光」ではなく同じように「オールド・ラング・サイン」をアレンジした「別れのワルツ」という曲だそうだ。

 曲ができた国は違っても、日本人にとってやはり大切な曲には間違いない。そして筆者にとって1年で最も耳にするのが卒業シーズンの今。各校の卒業式の最後にうたわれている。

 日本では別れの歌の「蛍の光」だが、原曲の「オールド・ラング・サイン」は「久しき昔」などと訳され、歌詞の意味は、古い友人と再会し思い出や過ぎ去った時間を感じながら一杯交わす内容。今回卒業していった児童や生徒たちにも、いつか級友と再会し、コロナ禍を共に乗り越えた思い出を語り合える日がくることを願いたい。(城)