籔内町長に肖像画を手渡す柴田さん㊧

 田辺市龍神村在住のエアブラシアーティスト柴田友助さん(67)が、美浜町三尾のカナダ移民の先駆者工野儀兵衛(1854~1917)の肖像画を描き、15日、同町に寄贈した。三尾のカナダミュージアムに飾ることにしており、籔内美和子町長とNPO法人日ノ岬・アメリカ村の小薮清信理事長は「三尾の新しい宝物ができた」と感激している。

 柴田さんと小薮さんが、趣味のカラオケで知り合ったのがきっかけ。工野儀兵衛の話を聞いた柴田さんは、「工野儀兵衛が父と同じ宮大工だったので、非常に関心を持った。カナダ移民の父といわれる偉大な人をもっと多くの人に知ってもらいたいと思った」と創作意欲を駆り立てられたという。

 肖像画はこれまで何度も手がけており、工野儀兵衛の唯一の写真を参考に、15号のキャンバスに約10日かけて少し若々しく仕上げた。

 町長応接室で贈呈式が行われ、作品を見た籔内町長は「写真より美しい。本当に素晴らしい作品。(NPOが運営する)カナダミュージアムに飾らせていただきますが、この肖像画を見るために人が来てくれそう」と絶賛。同席した小薮理事長とカナダミュージアムの三尾たかえ館長も「貴重な肖像画で、宝物が一つ増えました。今までは写真を何気なく見るだけでしたが、丸襟のシャツや当時としては高価な背広を着ていることなど、柴田さんに教わりました」と喜んだ。

 柴田さんは「三尾出身のこんな立派な人がおられるのに、まだ知らない人が多い。肖像画をきっかけに、見てもらった人が少しでも関心を持ってもらえるとうれしい」と話した。