温かい支援に感謝し、「早く戦争が終わってほしい」とキツィラさん(由良町で)

 ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して24日で1年となる。ウクライナ西部リビウ出身で由良町に暮らすロクソリャーナ・キツィラさん(28)は、年明けから約1カ月間にわたり里帰りし、長期化する戦争が日常生活に影を落とす母国で家族と再会。戦いの終わりが見えないなかも決して屈せず、「国民みんな一人ひとりが戦っている。私ができることはウクライナについて知ってもらうこと」と力を込めた。

 キツィラさんは、中学生のころから日本の伝統や文化に興味を持ち、日本語を勉強。ウクライナを訪れた日本人男性と出会い、2021年3月に結婚、同8月から由良町に住んでおり、以来初めて一時帰国した。

 リビウの実家には両親と兄、祖母の4人が暮らす。飛行機でポーランドへ入り、そこからバスで片道合計約40時間。きのうのように思い出されるまちで家族と抱き合った。東部の激戦地と比べて穏やかなまちも、時折空襲警報が鳴り響き、電力不足から電気は一日に限られた時間だけ、インターネットもしばしば途切れた。衣食には困らなかったが、さまざまな規則があり、仕事も家事も不自由な生活。「家族とは何も特別なことはなく、普通に過ごせたことが大切な時間でした」と振り返り、帰りにポーランドの空港まで送ってくれた母とも仕事やペットの話をして別れた。

 日本に戻ってからも毎日メールや電話でやりとり。「初めはすぐに終わればいいなと思っていましたが、1カ月、2カ月、半年と長くなり、あと何年続くのかと思うようになりました。しかし、私たちは戦って自分の国をもっといい国、もっと強い国にしたいという気持ちがあります。もちろん勝ちます。だからみんなウクライナのためにできることをしています。軍やボランティア、みんな一人ひとりができることをしています。私は日本でウクライナや戦争について伝えること。ロシアの強いプロパガンダにだまされないように、ウクライナ人として声を上げ続けたい」と話した。

 由良町ではコンビニのスタッフとして働くキツィラさん。温かい言葉や支援に「とてもありがたいです」と笑顔を見せ、「早く戦争が終わってほしい」と平和を願う。