念願の金メダルを手に井口さん

 国際柔道連盟主催の第17回日本マスターズ柔道大会が21、22日に東京の講道館で開かれ、男子50~54歳81㌔級で印南町の柔道教室「久保井塾」コーチで会社員の井口靖仁さん(51)=印南町島田=が初優勝。柔道を続けて40年、マスターズ大会は7回目の挑戦で念願の日本一に輝いた。高校3年の長男と実践練習を重ね、これまでにない準備で臨んだ成果を見事に発揮した。

 マスターズ大会は総勢約600人が出場。30歳以上が対象で、各年代、階級別に試合が行われた。

 井口さんが出場した部門は11人がトーナメントで争った。2回戦から登場の井口さんは、福岡県の選手に技ありから抑え込み一本で勝利。準決勝は東京の選手を体落としで一本。決勝は埼玉県の選手に得意の抑え込みで一本勝ちした。

 小学5年のとき切目柔道教室に入部して柔道を始めた。切目中、御坊商工高、福井工大でも続け、帰郷してからは真妻柔道教室、現在は久保井塾でコーチをしているこの道40年のベテラン。高校時代は県大会で優勝、大学でも北信越大会優勝などの成績を残したが、日本一の経験はなかった。マスターズ大会には2012年山口大会に初出場。これまではベスト8が最高だったが、今回は優勝を狙うと意気込んで臨んだ。

 長女も柔道経験者、長男、次女は現役選手。長男陽登さん(和高専3年)は全国高専柔道大会で3位になった実力者。次女、苺心礼(もこあ)さん(切目小6年)は近畿大会準優勝。「父として2人の成績を超えたい」と闘志に火がつき、本番に向けて長男相手に実践練習を繰り返し、ランニングや筋トレも増やして年明けから約6㌔減量、気力体力とも充実させて臨んだ成果をいかんなく発揮した。

 念願の金メダルを手に「優勝した瞬間は意外と冷静で、ずっとほしかった金メダルをやっと取れたという思いでした。普段指導している小中学生に頑張ったらできることを見せたかったので、うれしいです」と笑顔で、「来年は2連覇を狙いたい。今回の最高齢者が89歳でしたので、そこまで柔道を頑張りたい」と話した。