イグアノドン類の復元図(川崎悟司さんイラスト)
イグアノドン類㊧とスピノサウルス類の歯の化石

 県立自然博物館は20日、広川町山本の白木海岸の地層から恐竜の歯の化石4点が見つかったと発表した。同一の地層からはこのほか、複数のワニやカメ、魚類等の脊椎動物の化石15点も発掘され、同館は「白亜紀の東アジアにおける動物相を知るうえでたいへん貴重な発見」とし、今後の追加発掘調査でのさらなる化石発見に大きな期待を寄せた。

 見つかった恐竜の歯の化石は、草食恐竜のイグアノドン類(長さ1・4㌢、幅0・6㌢)が1点、肉食恐竜のスピノサウルス類(長さ1・8㌢、幅0・8㌢)が1点、肉食恐竜とされる獣脚類が2点。同館と北九州市立自然史・歴史博物館(福岡県)、国立科学博物館(東京都)が昨年5月と9月に行った共同調査で発掘した。

 発表によると、イグアノドン類は馬のように細長い頭をした草食恐竜で、歯の形が楯状で発達した隆起部が歯の中心からずれていることから上顎骨の歯であると考えられている。草食恐竜の化石は県内初の発見となった。スピノサウルス類は背中に帆のような突起物があり、水中で泳ぐこともできる肉食恐竜。歯が円錐形で、縦の条線やちりめん状の縞模様もはっきりと残っており、主に魚を捕食していたと考えられている。いずれも歯の大きさから、体長は10㍍未満と推定されている。

 発見現場の白木海岸は、約1億3000年前の白亜紀前期の陸域~汽水域(海水と淡水が混ざる水域)で形成された地層が約500㍍にわたって露出する。貝類や植物の化石を豊富に産出するが、脊椎動物の化石は稀だという。恐竜の化石はこれまで湯浅町で2点発見されているが、いずれも転石からの産出で、地層から恐竜の化石が発見されたのは初めて。

 発掘された化石は今月31日から3月31日まで同博物館の玄関ホールで展示される。