医療功労賞地方表彰を受けた塩﨑さん

 地域の医療や福祉の充実、発展に長年貢献した人をたたえる医療功労賞(読売新聞社主催、厚生労働省、日本テレビ放送網後援、アインホールディングス、JCRファーマ協賛)の地方表彰者に、日高川町美山地区にある町国民健康保険川上診療所で20年以上看護師を務める塩﨑たづ子さん(60)=同町三百瀬=が選ばれた。

 医療功労賞は、第51回となる今年度から従来の都道府県表彰に代わり、全国を8ブロックに分けた地方表彰を創設。今年度は医師や看護師ら35人が選ばれた。

 塩﨑さんは宮崎県の出身で、美浜町の旧国立療養所和歌山病院附属看護学校に進学。卒業後は大阪や日高地方の病院などで勤務し、2000年に同診療所の前身の美山村国民健康保険川上診療所に着任した。当初は2人いた看護師は09年から塩﨑さんだけとなり、医師と2人の事務員の4人で高齢化率が高い旧美山村の地域医療を支えている。

 ほとんどの患者は顔なじみで、患者やその家族だけでなく、地域の情報が得られることに加え、町が運営する診療所ということもあり、役場の保健福祉課や町社協、介護士らと連携することができ、患者に寄り添った診療ができることにやりがいを感じているという。

 塩﨑さんは「病院に入院した人が退院したときに戻ってくる場所で、ずっとお付き合いが続きます。患者さんの笑顔に一番励まされます」と話し、受賞には「診療所のスタッフや連携機関の皆さんが助けてくれたおかげ」と笑顔を見せる。

 今年度末で定年退職を迎え、常勤で働く第一線からは退くことを決めているが、「家でじっとしていられないので、これからも手伝っていきたい」と、患者に寄り添う地域医療に意欲を見せている。