感謝状を手に(前列左から)保田さん、新家さん、くみこさん、中島さん、林さんと森口さん(後列中央)

 今月11日に美浜町田井で起きた民家火災で迅速、適切な行動で人命を救ったとして、日高広域消防本部は26日、近所に住む30~80代の男女5人に感謝状を贈った。5人は煙が上がる火事現場に駆けつけると、協力してはしごをかけ、2階から住人の女性を救出。助けられた女性も贈呈式に同席し、「この人たちがいなかったら今ごろは生きていない」と心から感謝を伝えた。

 感謝状を受けたのは自営業林佳典さん(43)、会社員中島央人さん(33)、妻くみこさん(34)、無職の新家泰雄さん(80)、保田勉さん(63)。

 同消防や関係者によると、11日午後1時ごろ、田井の鉄筋コンクリート一部2階建ての民家が全焼する火災が発生。南側から北へ火の手が回るなか、この家に住む森口美保さん(74)が2階北側で東向きの窓から助けを求めていた。

 火事と森口さんに気づくやすぐに駆けつけた5人。新家さんが車庫にあったはしごを保田さんとともに持って走った。新家さん、保田さん、くみこさんではしごを固定。林さんと中島さんが上がり、テラスの屋根に足をかけながら、森口さんを窓から出して地上に助け出した。

 本署で阪口悟消防長が一人ひとりに感謝状を贈呈。「皆さんの活躍で1人の尊い命を助けることができました。一刻を争う状況でなすべきことを判断し、実際に行動することはなかなかできません。皆さんの行動がなければ家人の発見は遅れ、救出に時間を要したことは容易に想像でき、まさに死傷者の発生を未然に防いだ見事な活躍でした」とたたえた。

 感謝状を受けて林さんは「とにかく必死であまり覚えていません」、中島さんも「助けないと、という一心でした」と振り返り、5人は「(家にいる)日曜の昼だったのが幸いしたのかな。森口さんが助かって本当によかった」とにっこり。森口さんも「煙も炎も迫ってきていて、皆さんがいなかったら火だるま。本当にありがとうございました」と頭を下げた。