来シーズンの2部昇格を決めた南紀オレンジサンライズ

 2022県社会人サッカー3部リーグの全日程が終了し、今シーズンから参戦した、みなべ町や田辺市を拠点に活動する南紀オレンジサンライズが全勝優勝。来シーズンからの2部昇格を決めた。メンバー全員が県外から紀南地方に移住し、農業を中心に地元企業で働きながら地域貢献を目指す社会人クラブ。W杯でサッカーが注目を浴びる中、地域に根差した活動との両立に取り組んだ初年度はおおむね目標を達成し、順調な滑り出しとなった。

 3部リーグは6チームが参加し、リーグ戦を2巡、合計10試合の勝ち点で争った。サンライズは開幕から10連勝の勝ち点30、42得点、失点わずか1の圧勝だった。

 チームは今年2月に始動。メンバー全員がそろったのが3月下旬で、序盤はまだぎこちなさもあったが、試合を追うごとにチームワークや連携が上昇。失点も初試合のみで、危なげない試合展開で3部を制した。

 「サッカークラブ×移住×農業」をスローガンに掲げ、地域貢献にも積極的に取り組んだ。日本一の梅産地みなべ町では収穫時期の人手不足が大きな課題となっているが、働き手となるメンバーもいて、課題解消へ向けた一助となった。

 デジタルの地域通貨「なんきコイン」の発行を通じた地域活性化にも新たに取り組んだ。なんきコインを購入したファン・サポーターはクラブが提供する限定のキャンペーンに参加したり、地域加盟店舗で決済手段として利用できる仕組み。決済に応じて一部がサンライズに還元されることで、直接的にクラブを応援でき、地域の店舗利用で継続的な地域貢献にもつながっている。

 初年度を終え、森永純平代表(32)は「1年かけて徐々にまとまり、優勝できたことはよかった。来年は新しいメンバーを加えてチーム内の競争でさらにレベルアップを図りたい。地域に根差した取り組みとサッカーとのバランスを取りながら、うまくやれた部分とやれなかったことがある。今後は地域とかかわる時間を増やしていきたい」と話した。

 チームとしては来季、2部優勝で1部昇格を目指す。