内覧会に訪れ、広々とした店内でくつろぐ地元の人ら

 昨年3月で閉校となった日高町の比井小学校校舎を活用し、地域住民憩いの場となるカフェが13日からオープンする。施設の有効活用による地域活性化を目的に、町が企画提案を募集、審査のうえ決定した事業者の社会医療法人黎明会(北出貴嗣理事長)が経営。店名は比井小学校の校歌の歌詞の一部から「ひいのの」と付けられ、和歌山の食材を使ったランチやスイーツを提供する。

 比井小学校は昨年3月、志賀小学校との統合に伴い閉校。町は施設を有効活用するため、公募型プロポーザル(事業企画提案)を実施し、共同で応募した御坊市の黎明会と大洋化学株式会社(上西一永代表取締役CEO)が契約者となり、活用に向けたプロジェクトを進めていた。大洋化学は教室等を活用し、今年4月から真妻わさびの屋内型水耕栽培事業をスタートさせている。

 黎明会のカフェ「ひいのの」は校舎1階部分を改装し、和歌山の食材を使った日替わりランチ(850円)のほか、ワッフルチキンなどの軽食、米粉を使ったケーキなどを提供。物販コーナーもあり、町特産のなた豆の加工品、魚の干物、大洋化学が栽培したわさびの葉を使ったジェノベーゼなども販売する。

 2階の講堂には、卓球台や御坊市内で広がりをみせつつあるニュースポーツ「モルック」を楽しめるスペースを設け、今後は介護予防教室などの開催や貸しイベントスペース(1時間500円)としても活用していく。

 「ひいのの」の名前の由来は、校歌の歌詞「たちばな薫る〝比井の野〟に民主の花が咲いているぼくらの楽しい学び舎」から。やわらかく温かい場所になるようにと、ひらがなにした。

 本オープンを前に7日、松本秀司日高町長ら関係者と地元住民を招いての内覧会が開かれ、回覧板を見て集まった住民らで大にぎわい。コーヒーやケーキを楽しみながら、友人と訪れた80代の女性は「私も子どもも比井小学校の卒業生ですが、廃校となった校舎が生まれ変わって感慨深いものがあります。ここにみんなが集まって、懐かしい顔に出会えるのがうれしい」などと話していた。

 営業時間は午前9時から午後4時(ランチは午前11時から午後2時)まで。10、11日はプレオープンで、10日は午後2時から餅まき(雨天中止)、11日は午後2時より町民限定の健康講座も開かれる。講座の問い合わせは黎明会企画部℡0738ー23ー1111。