キハ603の展示車両に設計事務所をオープン

 印南町印南、川村鉄工所を営んでいる川村政和代表(47)は、御坊市の商店街空き店舗対策事業補助金を活用し、薗の本町商店街・ほんまち広場603にある紀州鉄道廃車両・キハ603内に建築設計事務所REALFORCE(リアルフォース)をオープンした。補助制度は商店街の活性化などを目的に2014年度から実施。今回で5件目の認定となった。

 補助事業は商店街地域・寺内町周辺にある空き店舗の利用促進、商店街の活性化、新規起業者の出店などを促進する狙い。空き店舗の家賃補助(5万円を上限に月額賃料の2分の1)を12カ月分、店舗の改修工事費用(50万円を上限に2分の1)の補助がある。

 今回の紀州鉄道廃車両を利用した店舗は長さ約13㍍、幅約2・5㍍。内部には車両の座席や吊り輪などがある。以前は飲食店が入っていた。

 川村さんは御坊市に取り引き先が多いことから市内で店舗を探し、立地条件の良さなどから8月末に賃貸借契約を締結。その後、机や椅子、パソコンなどを搬入するなど開所に向けて準備を進め、先月13日にオープンとなった。

 川村さんは「『キハ603が展示されている場所』と言えば、地元の人なら誰にでも分かってもらえる」と話し、「建築設計は街並みをつくる仕事。地域のシンボルのキハ603を自社の活動に生かしていきたい」と話している。オープンから約1カ月が経過したが、電車ファンが連日写真を撮りに訪れている。