黒竹を手に弘昭さん

 日高町原谷の黒竹の店、有限会社金﨑竹材店(金﨑昭仁代表取締役)が、黒竹の魅力や現状を知ってもらい、伝統文化と歴史を守りながら地場産業の活性化につなげようと、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を行っている。

 金﨑竹材店は明治後期から100年以上にわたり、黒竹の伐採から加工まで一貫して行っている。原谷では最盛期に7軒の事業所があり、約100軒が何らかの形で黒竹産業に関わっていたが、高齢化や獣害、竹特有の病気被害による収穫量減少から廃業が相次いだ。同社だけが産業と文化を守っている状況の中、地場産業と伝統文化を再び盛り上げようと、日高地方の5商工会でつくる日高経営支援センターの支援を受けて取り組むプロジェクト。取締役の金﨑弘昭さん(35)が中心となり、黒竹の魅力や獣害、収穫量減少の課題を知ってもらい、活性化の第一歩として立案した。

 支援金は生産性向上への取り組み、認知度アップへの活動、耕作放棄地への植栽や獣害対策に活用。黒竹のはしやボールペン、シャーペンの各ギフト、民芸品作り、伐採と火あぶり、植栽、ボールペン組み立て、オリジナル万年筆製作各体験のリターンを用意している。CFはサイト「キャンプファイヤー」を利用し、15日まで。

 弘昭さんは「自分の中に黒竹文化を守るという使命もありますが、それ以前に『竹で大きくしてもらった』という気持ちがあり、竹に関わって仕事をするのは恩返しの意味合いが強いです。多くの方に関わっていただきながら伝統をつなげていきたい」と話している。