inverted detective story(倒叙ミステリー)とは、犯人が犯罪を行う様子を事前に読者へと提示し犯人視点から事件の結末までを描くミステリー。

 物語 IT会社で働く狛木繁人は会社社長の吉田直政と自身が企画開発したプロジェクトについて吉田のマンションで話していた。吉田は外部にプロジェクトを売却するといい、狛木はそれに反対するが、説得できずにいた。

 説得をあきらめた狛木はリュックから重いレンチを取り出すと、勢いよく振り下ろした。その後、狛木は吉田を風呂場まで運び転倒事故に見えるよう偽装工作を行う。事件は事故として処理されるはずだったが、数日後、狛木のマンションの隣の部屋に翡翠と名乗る若い女性が引っ越してくる…(雲上の晴れ間)。

 本作は「medium(メディウム) 霊媒探偵城塚翡翠」の続編で、その結末に触れていますので、まだ読んだことが無い方はそちらを先に読むことを強くおすすめします。

 今作は「雲上の晴れ間」「泡沫の審判」「信用ならない目撃者」の全3編で、タイトル通りの倒叙ミステリーです。読んでいると自分も、犯人と一緒に城塚翡翠に追いつめられる感覚になるはず。

 前作のキャッチコピー「すべてが、伏線」に続き、今作は「すべてが、反転」となっていて、最後まで読むと見事に反転します。城塚翡翠シリーズは何を書いてもネタバレになってしまいそうなことからSNSでは「#翡翠ちゃんかわいい」とつけて投稿するのが流行っていました。

 現在、日曜夜10時30分から読売テレビでドラマが放送中で、こちらもオススメです。主演の清原果耶の演技が二重の意味ですごいです。いや、これもネタバレになるかもしれないので最後に「翡翠ちゃんかわいい」とだけいっておきます。(将)