
近年は独特の景観から「日本のアマルフィ」と呼ばれる和歌山市雑賀崎。ここに伝わる「ハナフリ伝説」をモチーフにした美しい絵本をご紹介します。9月、日高川町初湯川の書店イハラ・ハートショップで原画展が開かれ、著者も来店しました。
物語 ふうちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんは、海辺のまちで床屋さんをしています。ふうちゃんは、おじいちゃんのハサミの音や床屋さんの匂いが大好きでした。ある夏休み、ふうちゃんはおじいちゃんに髪を切ってもらったあと、おばあちゃんに「ハナフリ」の話をききました。お彼岸の中日、海に沈む夕日を見に行くと、夕日から目の前いっぱいにハナのような光の粒が降ってくるというのです。「わたしもみたいなあ…」。
著者のすけのさんは、大阪出身。私はイハラ・ハートショップさんに紹介してもらってこの本を知り、注文したところ著者のすけのさんがサインを入れてくださいました。深謝です。
「春と秋の彼岸の中日には、海に沈む夕日から『ハナ』が降ってくる」というその伝説はまったく知らなかったのですが、「トンガの鼻自然クラブ」がまとめた「雑賀崎のハナフリ」という冊子に多くの人の体験談が掲載。「何ともいえないいろいろな色がキラキラ降ってきた」「黄金の小判がヒラヒラと枚落ちるように」「万華鏡のように色が変化」「ダイヤモンドダストのようだった」「ハスの花が降るよう に」…等々、一度ぜひ見てみたいと思わせられます。
本書は、ふうちゃんという少女と祖父母の温かい心のつながりを描きながら、人から人へ世代を超えて伝えられる、自然と対峙する大切な行事の尊さが美しい色彩とやさしい絵、やさしい物語で語られます。見開きのページいっぱいに描かれる「うみのハナ」は圧巻です。来年の春のお彼岸には、雑賀崎を訪れてみたいものです。(里)


