みなべ町役場で30日、梅の医学的効能研究報告会が開かれ、大阪河﨑リハビリテーション大学の中村美砂教授が、新たに認知症予防に梅の効果が期待できると発表した。同大学、県立医科大学、和歌山高専の共同研究で、記憶・認知機能の改善に効果があるとされるタンパク質の一種オステオカルシンが、梅の成分によって骨での生産がアップすることなどを突き止めた。
梅の認知症に対する効能の研究は2つの方法からアプローチしており、一つ目は貝塚市の60歳以上の男女73人を対象に、梅干しを食べる頻度によって、骨の元となる骨芽細胞で生み出されたオステオカルシンの血中濃度を測定。1週間に2個以下の人に比べ、一日1個以上の人の方が1・4倍高かった。また、一日に1、2個食べる人のオステオカルシンの血中濃度はほとんど食べない人に比べ高くなったが、3個以上食べても血中濃度が変わらず、食べ過ぎても効果がないことを指摘した。
二つ目のアプローチは青梅の果皮と果肉から抽出した成分を骨芽細胞になる前の細胞に加えて培養し、骨芽細胞になった時のオステオカルシンの生産量を分析。梅成分を加えていない骨芽細胞に比べ細胞内にある量は2倍以上となり、骨芽細胞から血中に出ていくオステオカルシンの量は約6倍にもなることが分かった。中村教授は「オステオカルシンは記憶・認知機能のアップにつながる働きがあり、認知機能が高いほど、オステオカルシンの血中濃度が高いとの研究結果が出されている。そのオステオカルシンの生産アップに梅が効く」と述べた。
この日は和歌山高専の奥野祥治教授が梅の老化予防効果、東海大学医学部の山本典生教授が梅の新型コロナウイルス抑制なども報告。大阪河﨑リハビリテーション大学の宇都宮洋才教授は今後の梅の機能性研究についても話した。梅はすでに血糖値上昇抑制や抗腫瘍効果、インフルエンザ増殖抑制などが確認されており、町ではさらなる効能の検証を大学の研究グループに委託している。