今年3月の県150周年式典で講演する辻原さん

 政府は25日、今年度の文化勲章受章者6人と文化功労者20人を発表し、印南町出身の小説家、辻原登(本名・村上博)さん(76)が文化功労者に選ばれた。

 辻原さんは1945年、印南町島田に生まれ、和歌山大学学芸学部(現教育学部)附属中学校を卒業し、大阪教育大学附属高校卒業後に上京。67年、田辺市に戻り家事に従事する。その後再上京し、会社勤めをする傍ら85年「犬かけて」で作家デビューした。

 90年に和歌山をモチーフとした「村の名前」で第103回芥川賞を受賞後、執筆に専念し、短編小説や時代小説など精力的に作品を発表。99年「翔べ麒麟」で読売文学賞、05年「枯葉の中の青い炎」で川端康成文学賞など権威ある文学賞を数々受賞し、県文化賞(01年度)、紫綬褒章(12年度)も受けている。

 和歌山をモデルにした作品も数多くあり、新宮市の医師大石誠之助を主人公のモデルとした「許されざる者」(10年)、「枯葉の中の青い炎」が収録された作品集には、南部高校野球部選手をモデルとした「野球王」も収められている。