10月は文化の秋たけなわ。今月のテーマは「文化祭」とします。

 「ホットドッグ・ドリーム」(田中雅美著、集英社)

 女子高を舞台に個性的な登場人物が活躍するコメディ。文化祭の場面が楽しそうで印象的でした。

   * * *

 体育館から盗んできたとおぼしきマットが敷きつめられ、上に赤い布がかぶせてある。

「これ、視聴覚室からもってきた暗幕の裏。こんなもんだよね」

「カーテンはこれだよ」

 教室の隅に黒い布がひろげられている。これも視聴覚室からもってきたのだろう。それを右から左から、女の子が一人ずつ、カッターで何かを切りぬいている。

「何を切ってるの?」

「あたしのイニシャル。H・H」「あたし、おむすびの形。おだんご型の切り抜きもやっちゃった」「あ、あ、あ」

 るみちゃんが美学の崩壊に悲鳴を上げた。「百合の形に切り抜いてって言ったのにい!」

 紫水晶のシャンデリアはどうなったのだろう。女の子たちは天井からとりはずした蛍光灯にセロハンをまきつけている。紫と黄色のセロハンをだんだら模様にする子もいれば、紫とオレンジの水玉、青と赤でユニオンジャックを作って貼り付ける子もいる。サヨコが頭から湯気を出した。「紫一色でいいんだよ!」