テープカットで開業を祝う仁坂知事(左から2人目)ら

 白浜町の南紀白浜空港隣接の展望広場内に11日、新しいビジネス拠点「オフィスクラウド9(ナイン)」が開業した。白浜町はリゾート地を生かし、休暇を楽しみながら仕事をするワーケーションの施設整備を進めており、町内4カ所のビジネスオフィスとなる。空港から近い利便性や太平洋を一望できるロケーションと立地条件は最高で、都会からの新規進出が期待できそうだ。

 展望広場内の県有地を有効活用しようと、県が昨年2月にビジネス拠点整備・運営事業者を公募。東京の建設コンサルタント会社、株式会社オリエンタルコンサルタンツと和歌山市の建設会社、株式会社淺川組が共同で事業を進めることになり、昨年11月に起工、約4億2000万円をかけて整備した。両社が運営も行う。

 クラウド9は延べ床面積約1000平方㍍、木造平屋建て。レンタルオフィス7室のほか、シェアスペース、会議室なども設けている。駐車場からは海、室内からは空港の滑走路が一望と、ダイナミックなロケーションが魅力。屋根には太陽光を設置して環境に配慮し、施設には紀州材をふんだんに使い、室内の壁は三段壁をイメージするなど白浜らしさにもこだわった。すでにレンタルオフィス7室のうち2室は東京と京都のICT企業2社が入居しており、ほかにも問い合わせは多く来ているという。白浜町はワーケーションの推進に力を入れ、これまでレンタルオフィス施設を町が2カ所、民間が1カ所を整備。クラウド9が4カ所目。今回の整備に県と町が3000万円ずつ補助した。

 初日は開業式が行われ、神事のあとテープカットや内覧会で完成を祝った。オリエンタルコンサルタンツの野崎秀則社長はクラウド9の名前や施設に込めた思いを披露し、「南紀白浜らしさ、快適に利用できる空間、環境に配慮という3つのコンセプト通りの施設ができた。地域の活性化に貢献していきたい」と抱負。淺川組の池内茂雄会長は「紀南の玄関口で、ワーケーションには最適の地」と今後の運営に期待を込め、仁坂吉伸知事は「サテライトオフィスやワーケーションの基地としてどんどん利用してもらい、地域発展の起爆剤になることを期待している」と激励。今回のビジネス拠点整備事業を提案した南紀白浜エアポートの岡田信一郎社長は「県の迅速な対応で待望の開業となった。紀南の活性化に今後も連携していきたい」とあいさつした。