23、24日に開催された「Kisssh Kissssssh(きしゅ~きしゅ~)映画祭」を取材した。日高地方で初めてとなる映画祭の開催。東京などの遠方から、この地域を初めて聞いて訪れたであろう若者もたくさんいて、映画の持つ魅力は奥深いものなのだと感じさせられた。コンペに出品していた映画監督も東京や大阪など都心部から訪れた二、三十代がほとんどで、印南町の印象について聞かれると、ある監督は「普段は渋谷の雑踏の中で過ごしていて時間もせわしなく過ぎていく感じだが、印南町に来て海のそばをゆっくり歩いたり地元の人と触れ合ったりしてとても新鮮だった。こういう時間を持つ事も大切だなと痛感した」と話していた。筆者は都心部で暮らしたことはなく、地方のゆったりとした時の流れを当たり前に過ごしているので、その言葉の感覚は客観的に感じることしかできなかったが、都会の人が地元を魅力的に感じてくれていると思うと、どこか嬉しさもあった。

 実際に町を訪れた若者たちも、何気ない風景にスマホをかざして写真を撮っていた。映画祭という非日常のイベントに小さな町の雰囲気がぴったり当てはまっていたのかもしれない。若者たちの力で町の知られざる魅力をもっと発信できる機会があれば、何気なく住んでいる地元の若者も自分の町を好きになれるかもしれないなと感じるとともに、若者の持つパワーの凄さを改めて感じた。

 近年は「よそ者・若者・馬鹿者は、結局まちづくりには役に立たない」なんて言われているが、エネルギーが入ってくるのはやはり外から。このようなイベントを定期的に開催して若者のファンを増やしていけば、二、三十年後のまちづくりに役立つかもしれないなと感じた。(鞘)