ウクライナ危機や円安などの影響で物価の値上げが続いている。特に農業用化学肥料の高騰が目立ち、中には価格が2倍程度に跳ね上がった肥料も。10月からはビール類や清涼飲料などの食料品もアップする見通しで、家計を預かる主婦からは「給料が上がらないのに物価だけが上がる」と悲鳴のような声が聞かれる。

 農業肥料の高騰は、ロシアのウクライナ侵攻で世界的に原料調達不安が高まったことなどが要因。米ドルの利上げと日本の大規模な金融緩和による急激な円安の進行で、仕入れコストが上昇したことも影響しているという。全農の肥料価格によると、窒素やカリなどを原料とした農業肥料が特にアップし、春肥対比で90%以上となっている肥料もみられ、JA関係者によると、「有機肥料に比べ、化学肥料の値上げが大きい」という。

 ハウス栽培で使用する燃料(重油)なども値上がりし、印南町の農家(55)は「肥料だけでなく、資材類も以前より高くなっている。このままだと、農業経営が厳しい」との嘆きも。こうした肥料の高騰に対し、政府も補助金対策を進めている。

 食料品の価格の値上げも多岐にわたる。来月からビール類では6~10%の値上がりになる。ほか、マヨネーズ、ハム・ソーセージなども値上がりする。帝国データバンクの調べによると、今年の食品の値上げで、実施済みに今後の予定分を加えると累計で2万56品目に及び、うち10月は最多の6532品目。2番目に多い8月の2493品目と比べても2・6倍になるという。

 御坊市の主婦は「給料は変わらないのに、物価だけが上がる。これからはもっとシビアに、買うものによって最安の店を見つけ、あちこちハシゴしなければ…」と話し、家計にとっては厳しい秋となっている。