ウクライナの状況が、劇的に変化している。今月中旬、ロシアが実効支配していた東部のハルキウ周辺を、ウクライナ軍が広い範囲にわたって奪還した。それはおよそ8000平方㌔㍍、ほぼ兵庫県に匹敵する広さになる◆キーウに次ぐウクライナ第2の都市、ハルキウ市を含むハルキウ州はロシアとの国境に近い東部に位置し、ロシア軍の重要拠点が置かれていた。8月末から今月までの2週間ほどの戦いでウクライナ軍は奇襲を成功させ、短期間に広範囲の領土を取り戻すことに成功した。情報番組では、欧米諸国から支援を受けた武器や情報のおかげというだけでなく、ウクライナ自身の「知恵と意志の力で領土奪還を実現した」とする解説もみられた。ウクライナの勝利が実現性を高めてきている、支援する国々にとってこのことの意義は非常に大きいという。20日からニューヨークで始まった国連総会では各国首脳の演説が行われており、多くがウクライナ侵攻への非難を強く表明している◆地政学的にロシアの思惑をみると、ロシアと欧州とのバッファゾーン(緩衝地帯)に位置するウクライナには欧州に与せず中立を保ち続けることを求めてきた。ウクライナがNATOへの加盟希望を表明したことで、その状態が揺らぐ危機感を持ったという。それを阻止する目的で、2月24日以降、一般市民に信じられないような攻撃が加えられ続けている。国際社会は断じてこれを容認してはならない◆刻々と変化する情勢を注視し続けること。状況を正しく把握すること。そして世界が、人々が健やかに暮らす場所としてのあるべき姿を取り戻せるよう願うこと。それが醸成されて国際世論となり、状況を好転させる大きな力になると希望を持ちたい。(里)