「前科者」は、香川まさひとさん原作、月島冬二さん作画による青年漫画。「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で2018年から連載中。保護司の女性が、罪を犯した「前科者」達の更生・社会復帰に向けて正面から彼らと向き合う姿を描いており、「消えない罪を背負った者は生き直すことができるのか」という問いを投げかける人気コミックです。21年には有村架純主演でテレビドラマ化。22年1月には、その後を描く、完全オリジナル・ストーリーとして映画化されました。今回紹介する本作品は、映画の小説版となります。

 あらすじ 罪を犯した者、非行歴のある者の更生に寄り添う国家公務員、保護司。コンビニ勤務の阿川佳代は保護司になり早3年。仕事にやりがいを感じ、道を外れてしまった「前科者」のために奔走していた。担当する前科者の中の一人・工藤誠は、真面目な仕事ぶりを雇い主から評価され順調に更生していた。このままいけば自立の日も近いと心を躍らせる佳代だったが、最後の面会日を前に、誠は忽然と姿を消してしまう。その頃、謎の連続殺人事件が発生し――。消えない罪を背負った者は、過去を乗り越えることができるのか。

 保護司とは、受刑者(前科者)を保護観察対象者として定期的に確認し、可能な範囲で助言もする仕事ですが、法務大臣から認められた非常勤の国家公務員なので、報酬は一切ないそうです。ただし、活動内容に応じて、一定の実費弁償金が支給されるといいます。

 本作品は、佳代が保護司として凶悪犯罪に立ち向かうサスペンスではありますが、「生きる」とはどういうことかを問うヒューマンドラマです。これ以上悲しむ人を作りたくない、罪を犯す人とその犠牲になる人を作りたくない…心の奥底にある思いはみんな同じなのに、すれ違い続ける、ある意味悲しい物語でもあります。現代日本社会に必要な何かを教えてくれているように感じられる作品です。  (米)